もちろん、世論調査では、大部分の国民がこの法案には反対だ。「自民の、自民による、自民のための」法案をこの大災害のどさくさに紛れて通してしまうとは。自民党議員には良心というものがないのだろうか。
国民の権利として最も重要な参政権の行使について、政権与党が恣意的に自分たちの都合の良い仕組みに変えられる。民主主義が機能する最低限の条件を破壊する行為が堂々と進められている。ついに民主主義の終わりが始まったと考えた方がよさそうだ。
■火事場泥棒の「国土強靱化」
7月11日付の日経新聞電子版に「国土強靱化、予算の焦点に 老朽インフラ更新急務 」という記事が大きく掲載された。フォームの終わり
「西日本を襲った記録的豪雨など自然災害の頻発を受け、インフラの災害対策を進める国土強靱化が政府の予算編成の焦点に浮上してきた」という内容だ。
10日の自民党役員連絡会終了後の二階俊博幹事長の記者会見では、「防災はいくらしてもしすぎることはない。どれだけしてもまだ足りない」という発言が飛び出した。
国土強靱化は二階幹事長が主導する第2次安倍政権のバラマキ装置の代表。18年度当初予算では3.7兆円だが、この大幅増額を狙う動きである。
しかし、今回の災害で死者・行方不明者が200人を上回ったのは、避難が遅れたことが大きな原因だった。宴会開始前、明るいうちに避難指示を出しておけばかなりの人たちが助かったはずだ。そうした政府側の落ち度について反省することなく、いたずらに予算増額をするだけでは本当の防災にはならない。
これから西日本では膨大な復旧工事が必要となるが、今、建設土木業界は、人手不足と資機材の高騰などに苦しんでいる。こんな時こそ、予算の単純増額ではなく、むしろ、緊急性の低い予算を凍結して、その分を被災地復興に充てるべきだ。そうすれば、人が足りない、ダンプが足りない、コンクリートが足りないという事態の緩和につながり、真の復旧支援に役立つだろう。