多くのフォロワーを持つ著名人や企業が炎上すると非常に目立つが、実際に批判を書き込む人はごく少数だというのが現実だ。山口氏らの実証研究によるとネットユーザーの0.5%、1件あたりに換算すると7万人に1人程度。特にこういった災害時の“不謹慎狩り”では、批判を書き込んでいる人はさらに少ないと考えられている。
「不謹慎狩りをしている人は極めて少数で、おそらく被災地以外の外野から個人的な正義感を振りかざし、一人で複数回もしくは複数の人の投稿に書き込んでいるでしょう。例えば、熊本地震でブログが炎上した平子理沙さんは、同じIPアドレスから何度も書き込んでいた人が6人いたと明かしています。100件以上書き込んでいた人もいたようです。著名人もその発信に触れる一般の人たちも、その実態を正しく知って、過大評価しないことです。少数の批判に押されて安易に謝罪、削除すると偏った正義を認めることになり、より攻撃がエスカレートすることになります」
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授は、ニュースやSNSを通して災害情報を見聞きすることで暗い気持ちになる「共感疲労」も一つの要因だと指摘している。ひどくなると人の笑顔すら不謹慎と感じる心理状態に陥るという。
「災害時は批判されるのが当たり前。特に拡散力の高いツイッターは誤解も生みやすい。みんながそれを理解するのが大事です」(山口氏)
(AERA dot.編集部・金城珠代)
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