飲酒運転で逮捕され、無期限謹慎中だったピン芸人・ガリガリガリクソンが先月26日、京都・よしもと祇園花月で行われた通常興行前の“前説”に登場し、仕事復帰した。
舞台上では「この中でハイボール40杯飲んで来られた方はいらっしゃいますか?」などと自虐ネタを連発したが、出演後に行われた取材の場にはスーツ姿で登場し、約40分間、同劇場横の喫茶店で記者との質疑応答を行った。
僕もその場にいたが、汗だくになりながら言葉を手繰り寄せるように謝罪の言葉を述べる姿が今も目に焼き付いている。
「ガリガリガリクソン容疑者、逮捕」
昨年5月12日。テレビからこの音声が聞こえてきた瞬間、何とも言えぬ感情がこみ上げてきた。
というのも、この3年ほど、2~3カ月に1回のペースで漫才コンビ「メッセンジャー」あいはら、ガリクソン、中西正男の3人でトークイベントをやってきたからだ。イベントを始める前からプライベートでも懇意にしていて、頻繁に飲みにも行っていた。そんな人間の逮捕。取材者として、そして、イベントを作ってきた共演者として、初めての感覚をこれでもかと味わった。
前述のとおり、ガリクソンとは数え切れないほど飲みに行ったが、毎回しっかりとした酒量を飲んでいた。例えば、1軒目に焼き鳥、2軒目にカラオケスナックに行ったとすると、通常の流れで考えると、焼き鳥店でビール2杯、ハイボール5杯、焼酎3杯くらい。次のスナックで焼酎を5杯くらい。僕と一緒に飲んでいる時点で、僕という年上の存在がいるわけだし、たいがいは他にも先輩芸人がいることがほとんどだったので、本人の中ではかなりリミッターをかけた飲み方をしていたとは思うが、それでもその酒量。そして、それくらいの酒量ではびくともしなかった。
非常にきれいな飲み方をする印象しかなかった上、人を食ったような芸風とは裏腹に、普段は極めて常識人。お世話になっている人への事細かな挨拶も欠かさないし、ナニな話、芸人とは思えないほど、保険や貯蓄もしっかりとやっていた。そのため「ガリクソン」「飲酒運転」「逮捕」というワードが頭の中で結びつかないというのが僕のみならず、ガリクソンに近い多くの芸人、関係者の共通した思いだった。