ワールドカップ1次リーグ・H組の2位で決勝トーナメントに進出した日本代表はロストフでG組1位のベルギーと対戦する。世界的なタレント軍団として知られるベルギー代表。ロメル・ルカク、エデン・アザールら攻撃陣に注目が集まるが、鉄壁の守護神ティボー・クルトワを擁するディフェンス陣も容易に得点はさせてくれないだろう。
グループリーグの3試合、ロベルト・マルティネス監督は多くのスタメンを代えてきたが、GKはクルトワがすべての試合に出ている。チームが大量5得点を挙げたチュニジア戦こそ2失点したが、パナマ戦とキャプテンマークを巻いたイングランド戦は無失点だった。そのイングランド戦でクルトワらしいプレーがいくつかあった。
クルトワと3バック中央のデドリック・ボヤタを除く9人が大会初先発だったベルギーは前半2分に自陣のミスからいきなりピンチを迎えたが、クルトワがジェイミー・ヴァーディーのペナルティエリア右から放ったクロスに素早く反応し、右足で大きくクリアして難を逃れた。
そして、クルトワの真骨頂ともいうべきシーンが1-0で迎えた後半21分。イングランドはDFのハリー・マグワイアのロングパスを受けたヴァーディーのスルーパスにマーカス・ラッシュフォードが抜け出してクルトワとの1対1に。そこから右足での技ありシュートは鮮やかにゴールネットを揺らすかと思われたが、クルトワが指先で触り、ゴールから外れた。
結局ベルギーが1-0で勝利。一部報道ではイングランドの試合へのモチベーションが疑問視された試合ではあったが、そうしたシーンの数々を振り返れば、クルトワの存在なしにベルギーの勝利はあり得なかったと言ってもいい試合だった。
クラブではイングランド・プレミアリーグのチェルシーで活躍するクルトワは199cmの長身とリーチを生かしたセービングが特徴で、その体格のわりに俊敏で守備範囲が広いことも評価の高い要因だ。左足のロングフィードや正確なスローイングにも定評のあるGKだが、守備では「クロスの対応力」「至近距離の強さ」「枠を外させる能力」という3つのスペシャリティを持つ。