数年前に初めて買ってあげた小学生向けのファッション誌を毎号ボロボロになるまで読み、掲載されていたアイテムを欲しがるという。

 子ども関連市場に詳しい大正大学の白土健教授は、オシャレに対する変化は子どもたちが楽しむアニメの中でも起きていると指摘する。

「例えば2004年に始まった『プリキュアシリーズ』はいまも子どもたちに大人気ですが、変身前の私服を比べると1作目はいまよりずっと庶民的でした。ほとんど服装が変わらない『ひみつのアッコちゃん』や『アルプスの少女ハイジ』の時代とは大きく変わっています」

 H&MやZARA、GAPのような大人から子ども服まで展開するファストファッションの登場も、子ども服の大人化を後押しし、親子でお揃いの服を着たり、色や柄などを部分的に合わせるリンクコーデを流行らせた。インスタグラムなどで子どもの着こなしをアップするアカウントも増えている。

「いまの子たちが急にオマセになったわけではありません。昔から親の服やメイク道具をこっそり試してみたり、隠れてオシャレをしてきた子はいましたが、オシャレも個性の一つとして認める親が増えたことで、表立ってできるようになったことが背景にあると思います」

 そう話すのは、小学生向け雑誌で最も部数が多い『ニコ☆プチ』(新潮社)の馬場すみれ編集長だ。読者の親世代の中心は30代。学生時代から個性を尊重する教育を受けてきた世代にあたる。

 同誌は、女優・新垣結らを輩出してきた中学生向けファッション誌『ニコラ』の姉妹誌として2006年創刊。企画づくりに活かす情報は、毎号読者から寄せられる数千通のお便りや、読モ、撮影に訪れる一般の子たちの声だ。特に、読者モデルの中でも「スーパー読モ」と呼ばれる子たちは韓国好き、原宿ファッションに詳しいなど、それぞれ好きなものや得意な分野があり、流行やオシャレに関して大人顔負けなほど意識が高いという。

 人気企画は通学と週末などのシーンをストーリー仕立てで紹介する1週間の「着回し」だという。

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