ランドセルが高額化し、小学校の卒業式での袴が流行ると禁止する学校も増えた。小学生向けのファッションブランドが増え、幼いころからオシャレを楽しむのも一般的になりつつあるいま、大人に負けないほど美容意識や人気が高い小学生も登場している。その背景にあるものとは。
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ファッション誌の美容ページを見ながら小顔マッサージや足痩せマッサージをするのが日課で、夕食後は「肌が荒れるから」とお菓子を口にしない。どれだけ足が細く長く見えるかにこだわって買ったヒールやブーツなど30足以上の靴が自分専用の靴箱から溢れている。背筋を良くしたくて、最近気になっているのはヨガ。日焼けしたくないから海外旅行は行きたくない……。
これは20代OLの話ではない。小学校6年生の日常だ。芸能事務所に所属したり、タレントやモデルの仕事をしたりしているわけでもない、公立校に通うごく普通の女の子がオシャレに目覚めたのは2歳からだったと母(38)は話す。
「最初は親が着せた服を嫌がったり、この服にはこの靴がいいとコーディネートするようになったりしたのですが、次第に誕生日もクリスマスもいつも服が欲しいと言うようになったんです」
ある日、祖母に買ってもらった1万円程するブランド物の新作ワンピースを学校に着ていくと、教師から「セーブしてください」と注意された。クラスメイトからは「服装が気に入らない」と直接言われたこともあったという。最初は学校用と週末用に服を分けていたが、娘は
「どうしてオシャレしちゃいけないの? 周りに決められずに、自分の好きな服を着ていきたい」
と譲らなくなった。親に買ってもらえないときは月600円のお小遣いやお年玉、祖父母からのお小遣いなどをやりくりして購入する健気さに、親として「好きなことを応援したい」と考えるようになったという。
「露出したり髪を染めたり、ルールを破るようなことはしていないし、おもちゃやゲームにお金を費やすよりは良いかなと思っています。最近はファッションデザイナーという仕事にも興味があるようで、せっかく自分で見つけた好きなことを尊重してあげたいと思っています」