「撮影禁止と書かれていないから撮るのは自由」「注意されなかったので問題ない」と自分主体に考えるのではなく、施設管理者の良識の上に成り立った撮影の自由であることを胸に刻んでおきたい。
【ケース2 レストランでの撮影料理は著作物ではない?店は「もう来るな」と言える】
レストランで注文した料理を撮影し、SNSで紹介するのはよくある話だが、実は料理写真の公表自体、何の権利も侵害していないという。
「料理の盛り付けが独創的であれば著作権が主張できるかもしれませんが、一般的にはそうではありません。もし店側が料理を撮られたくないのであれば、施設管理権の一環として、撮影を禁じることができます」
店側は<店内や他の客の写真はNGだが、自分が注文した料理のみ撮影OK><店内では撮影禁止><SNSでの拡散大歓迎>などと、自由にルールを定められる。それをメニューに記載したり、張り紙などで表示すればいい。
「店がマーケティング戦略の一環として、『場所も、どんな料理が食べられるかも来た人のお楽しみであり、ネットでネタバレされたくないから撮影禁止』と主張することも可能です。ただし、そんな厳しいルールでも客が訪れたくなるかどうかは店次第ですが」
もし店が決めたルールを無視した場合はどうなるのか? 例えば、店側が「もう二度と来るな!」と客に宣告するのは可能なのだろうか?
「レストランで食事をするということは、堅苦しい言い方をすれば、店が客に対して料理と食事する場所を提供するという契約です。ですから店はルールを守らず、店にそぐわないと判断した客に対して、『次回以降あなたとは契約を結びません』、すなわち、『二度とお店に来ないでください』と宣言することができます」
施設管理権の設定や行使は、店の雰囲気や料理を守るための手立てとも言えるだろう。
【ケース3 カフェテラス公道から撮影していてもアップで撮れば問題に?】
街を歩いていてふと目に留まった、カフェテラスで語らうカップルの姿。まるで映画のワンシーンのように様になっていたので、思わずシャッターを切りたくなった――。