いまだ炎上し続け、鎮火する気配をなかなか見せない。日本大アメリカンフットボールの悪質タックル問題である。
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大塚吉兵衛学長が5月25日に会見を開いたが、その前日あたりから、全16学部は自らのウェブサイトで謝罪声明を掲示するようになった。
16学部の謝罪声明を読み比べてみた。その多くはマニュアル的な定型文だったが、いくつかの学部から、「思想」と「事情」が見えた。
もっとも個性を発揮したのが芸術学部だった。
<皆さんが、「日藝に入学して良かった」、「卒業生として胸を張れる」と思えるよう、皆さんの持てる力をすべて安心して学修に向けられる環境を整えることに努めてまいります。日藝は、学生の皆さんを必ず守ります。日藝ブランド力を共に高めていきましょう>
あくまでも、「日藝」である。しかも、「芸」ではない。そして、「日藝ブランド」である。他の学部とは一緒にしてほしくない、というプライドを感じさせる。日芸の思想である。
ほかに学生を「守る」とアピールしたのが、危機管理学部、スポーツ科学部である。
<皆さんが、「危機管理学部に入学して良かった」と胸を張れるよう、皆さんの持てる力すべてを、安心して学修に向けられるよう環境を整えることに努めてまいります。危機管理学部は、学生の皆さんを必ず守ります>
両学部の文面は、主語が「危機管理学部」「スポーツ科学部」の違いだけで、他は同じだった。「必ず守ります」と記した背景には、「大学の危機管理ができていないのに学部で何を教えているのか」、「悪質タックルのどこがスポーツ科学なのか」という批判や揶揄にさらされる学生を守りたい。学部としてはしっかりした教育を行っていることを訴えたい、という思いがあったからだろう。在学生と保護者、就職先となる企業、学生を送り出す高校に向けてこのことをアピールしなければならないという、事情がみてとれる。