文理学部は他の学部には見られないフレーズで、教育観を示してくれた。

<心をみださず、目の前の在学生への教育にしっかりとあたることが使命であると確信しております>
<多くの学生は、それぞれ真剣に学び、学生生活を謳歌しながら、自らを磨いております。同じく教職員も力を入れて日々の教育・研究、学生支援に取り組んでおります。今後も、ひきつづき全教職員あげて学生の教育・支援にあたり、自由で闊達な学園を維持していく所存です>
 
 文理学部とアメフト部は親和性がとても高い。都下世田谷区桜上水にある同学部キャンパスとアメフト部グランドは同居しているからだ。文理学部の学生や教職員にすればアメフト部は親近感がある。加藤直人文理学部長が、アメフト部部長でもあるのだから。

 2016年にスポーツ科学部競技スポーツ学科を設置する前、スポーツ系クラブ活動は文理学部体育学科の学生が多かった。アメフト部にも文理学部学生が多い。そのせいか、テレビで日大のキャンパスとして文理学部が登場することがやたら多い。

 日本大16学部のなかで、アメフト部の事件でもっとも胸を痛めたのは、文理学部であろうか。そこで、「自由で闊達な学園」という言葉を使ったのは、アメフト部に反省を促す問題提起にも見える。思想と事情である。

 上記のほか、法、経済、商、国際関係、工、理工、生産工、生物資源科学、医、歯、松戸歯、薬の12学部の謝罪声明はほとんど同じ文面である。センテンスを前後に入れ替えたり、あるセンテンスが省略したり、表現を変えたりしたぐらいだ。いくつかの学部では、「私たち~~学部の教員(職員)は」などの主語を除いて、一字一句まったく同じだった。大学の事情が学部にストンと落ちてきたようなかっこうだ。

 以下、法学部の全文である。学部ならではの独自な見解を示されていない。

<法学部学生の皆さまへ 本学に関するさまざまな報道を見聞きし、法学部の皆さんは心を痛めていることと思います。このような事態となってしまいましたこと、心よりお詫び申し上げます。私たち法学部の教員は、皆さん一人ひとりと真摯に向き合い、皆さんが持っている本来の能力を発揮できるよう授業を行います。私たち法学部の職員は、さまざまな場面で、皆さん一人ひとりが抱えている問題を解決できるようサポートします。私たち法学部の教職員は、皆さんが将来に向けて希望を持ち、「自ら学び」、「自ら考え」、「自ら道をひらく」能力を身につけ、誇りを持って社会に飛び立てるよう、皆さんのことを第一に考え、教育に取り組んでまいります。 日本大学法学部長 池村正道>

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