2017年度上半期(4~9月)に432か所の企業主導型保育所に立ち入り調査を実施した結果、7割が文書指摘を受け問題があった。嘱託医との契約がない、乳幼児の健康診断が行われていない、保育士がきちんと配置されていない、食物アレルギーの対応がされていない、保育計画が整備されていないなど基本的なことまで問題があった。食物アレルギーは一歩間違えば命取りだ。
前述の美香さんは、「保育園って、いったい誰のためにあるの? 企業がもうけるためではないはず。子どもと保護者のために保育をきちんとしないような法人を認可しないでほしい。これでは、いつどんな事故が起こるか分からない」と、痛切に感じている。
●プロフィール
小林美希(こばやし・みき)
1975年茨城県生まれ。神戸大学法学部卒業後、株式新聞社、毎日新聞社『エコノミスト』編集部記者を経て、2007年よりフリーのジャーナリスト。2013年、「『子供を産ませない社会』の構造とマタニティハラスメントに関する一連の報道」で貧困ジャーナリズム賞受賞。近著に『ルポ 保育格差』(岩波新書)