疑惑がさらに深まった安倍昭恵首相夫人(c)朝日新聞社
疑惑がさらに深まった安倍昭恵首相夫人(c)朝日新聞社
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財務省が公開した文書の概要には「H26.4.28~」と書かれていたが、疑惑の核心であるこの日の文書は公開されなかった
財務省が公開した文書の概要には「H26.4.28~」と書かれていたが、疑惑の核心であるこの日の文書は公開されなかった

新たに公開された森友文書4000枚(撮影/西岡千史)
新たに公開された森友文書4000枚(撮影/西岡千史)

 疑惑の核心は、書かれていたことではなく、「何が書かれていなかったか」に残されている。

【決定的文書】疑惑の核心である「安倍昭恵文書」の存在を示す資料

 森友学園への国有地売却をめぐる記録について財務省は23日、新たな文書を国会に提出した。公開されたのは交渉記録の約1000枚と、改ざん前の決裁文書約3000枚。交渉記録は佐川宣寿前国税庁長官が、国会で「廃棄した」と答弁していたものだった。同日夕に開かれた野党合同ヒアリングでは、富山一成理財局次長が「深くおわびします」と謝罪した。

 すでに報道されているとおり、公開された文書には安倍昭恵首相夫人や当時の夫人付き職員だった谷査恵子氏の名前が出てくる。土地取引について問い合わせた内容も、これまで公開された資料の内容と合致するものだ。

 だが、4000枚もの文書には、森友問題の核心に触れる最も重要な「安倍昭恵文書」は含まれていなかった。むしろ、昭恵夫人の関与について、財務省による新たな“隠蔽”が疑われる痕跡が残されていたのだ。

「安倍昭恵文書」とは、公文書で昭恵夫人の名前が初めて出てくる2014年4月28日に関する記録だ。

 森友学園の籠池泰典・前理事長と近畿財務局による国有地に関する交渉は、14年に入ってから難航していた。

 国会に提出された記録によると、国有地の賃貸契約を望む籠池氏に対し、大阪府の担当者が「都合の悪い話になると怒り出すため、建設的な話し合いにならない」(14年3月27日)など、籠池氏への不信感を露骨に記していた。

 同年4月15日の籠池氏らと財務局の担当者との面会記録でも、会談後の「担当者心証」との項目では「自己の主張の妥当性を一方的に述べるのみであり、今後も、当方指示に真摯に対応することは期待し難い」と、ひどい書かかれ方をしている。

 ところが、同年4月28日を機に財務局の態度が一変する。

 この日、財務局を訪れた籠池氏は、交渉決裂寸前で最後のカードを切った。3日前の4月25日、籠池夫妻は昭恵夫人を建設予定地の国有地に案内、3人で一緒に写真を撮影した。4月28日について短く書かれた資料では、昭恵夫人との3ショット写真を見せ、森友学園側が「(昭恵)夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」と述べたと書かれている。

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