最も古い報告は、1861年から1865年にかけて行われた「南北戦争」にさかのぼります。戦場で、多数の兵士たちが不安や緊張から動悸や息切れ、呼吸困難などを訴えたのでした。現在、過換気発作の誘引の多くが、不安や緊張、恐怖、パニック、ストレスだと言われています。2015年のオーストリアのPfortmueller医師らの報告によると、過換気症候群を認めた男女616名中586名、なんと95.1%もの患者さんが恐怖の症状を訴え、35.7%がストレスを訴えていたと言います。他に、同年、JR東京総合病院救急部門の山口陽子医師らは、2009年から2012年の3年間で過換気症候群と診断した653名において、嘔吐や腹痛、めまい、胸痛、動悸、頭痛、発熱も過換気発作を引き起こす誘因として認めたと報告しています。 

 過換気症候群はどのような症状を引き起こすのでしょうか。先ほどのPfortmueller医師らの報告によると、過換気症候群を認めた男女616名のうち、61.5%に感覚異常を生じ、49.7%にめまい、28.7%に胸部痛を生じたといいます。他にも、呼吸苦、しびれ、嘔気、腹痛、嘔吐、意識消失、頭痛、動悸といった症状を呈することも報告されています。こうした身体の症状は、患者の不安をより一層高め、交感神経が緊張することでさらに過呼吸を引き起こし、時に激しい全身のけいれんや無呼吸状態を伴うこともある、とAndrews医師らは言います。

■20代女性に多く見られる過呼吸。季節も関係する?

 ところで、過換気症候群を生じやすい年齢や性別があるのを、ご存知でしょうか。実は、男性よりも女性に多く見られ、また10代から20代にかけて最も多く見られることが知られています。先日の新橋での救急搬送も、女子高校生の若年女性でしたよね。2013年に神戸市立医療センター西市民病院の大倉隆介医師らは、2004年から2010年で過換気症候群と診断されたた474名中、女性は389名と全体の82.1%を占めていたと報告しています。また、男女ともに20代が全体の33.8%を占め、最も多かったといいます。

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