今回、リーダーの城島茂も会見で言っていたように「酒臭いこともあった」というのは一番近くにいるメンバーだからこそ分かること。もっと細かく言うと、あいはらいわく「そんな日は、漫才も、いつもよりちょっとずつ間がズレている。お客さんには分からないかもしれないけど、自分にはよく分かるし、本当に微妙なものやけど、笑いの量は確実に変わってくる。そうなると『こいつ、こんな状況で来やがって…』と腹も立ってくる」。


 ただ、最後の最後、それまで僕の顔を見ながら話していたあいはらが、ふと視線をはずして「でも、ま、黒田を助けてやれるのは、行きつくところ、オレしかおらんもんな…」とつぶやいた。切っても切れないコンビの絆。言葉にすると、いきなり陳腐にもなってしまうが、その存在を痛感した瞬間だった。

 妻なり、相方なり、運命共同体と言える存在の人が、献身的にサポートする。それでも、うまくいくかどうかは分からない。事務所の枠を出た山口が、険しい道のりでどんな歩みを見せていくのか。あれだけの会見をメンバーにさせたということ。少なくとも、それだけは肝に銘じてほしいと、勝手を承知で、あの場の空気を吸った人間として切に願う。(中西正男)

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