ただし、一定の条件を満たした喫煙を主目的とする施設(いわゆるシガーバーやたばこの販売店等)については、別の類型を設け、喫煙禁止場所としない。
原則屋内禁煙の施設であっても、客席面積100平方メートル以下の個人又は中小企業(資本金5千万円以下)が経営する店で、かつ従業員を使用していない場合は、禁煙・喫煙を選択すること ができる。
喫煙可能な場所(喫煙室など)への子どもの立ち入りは禁止する。
2020年オリンピック・パラリンピック開催前には、罰則適用も含め、全面的に施行予定。
政府の法案と都条例骨子案の最大の違いは、飲食店について、中小企業が経営する小規模店でも喫煙専用室を設けない限り禁煙とすることだ。その代わりに、従業員がいない小規模店には喫煙を認める。禁煙になる飲食店は政府の法案では全国の45%が対象だが、都条例では84%に拡大するという。また、保育所や学校などについても、政府案は屋外に喫煙場所を設けられるが、都条例ではこれを認めない。
一見して、都の条例骨子案の方が受動喫煙対策を真剣に推進しようとしていることがわかる。もちろん、小池都知事は、これを政府対東京都という対比ではなく、安倍対小池という政治家同士の比較の図式に持って行きたいと考えているのだろう。東京都の公表資料には、『「人」に着目した対策』というフレーズが2ページにわたり赤字の太文字で大書されている。また、「子どもなど20歳未満の人を守る」「従業員を守る」というキャッチフレーズも強調されているのが目を引く。そこには、オリンピックやラグビーワールドカップ対策という趣旨は全く書かれていない。
これは、「東京大改革」を旗印に大躍進した小池都知事が、昨年の衆議院選での「排除いたします」発言で広がった自身に対する「上から目線」「冷酷」というイメージを払拭し、「人にやさしい、弱者にやさしい政治家小池」というイメージを構築するための戦略だと考えられる。この受動喫煙対策はそのための最適なテーマだと判断したのであろう。実は、2月19日の本コラムの最後の文章として、私は、市民の声を代弁するつもりで、「いつになったら、日本は、真に「人にやさしい」先進国型のリーダーを見出すことができるのだろうか。」と書いた。小池都知事の作戦は、こうした市民の声に応える形になっているのは興味深い。人気取りの才能の一端が垣間見えた気がする。