strong>著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
strong>著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
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安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
安倍晋三首相 (c)朝日新聞社
小池百合子氏 (c)朝日新聞社
小池百合子氏 (c)朝日新聞社

 連休明けからようやく国会が正常化され、重要法案の審議に野党が復帰する見通しとなった。森友、加計、自衛隊日報、財務次官セクハラなど政府の不祥事が相次ぎ、その真相解明がほとんど進まない中では法案審議などできないという野党の主張ももっともであるが、一方で、6月20日までしかない会期の中で、国民の前でしっかりした議論を急いで欲しい課題はいくつもある。

【写真】安倍首相に再び、喫煙問題で戦いを挑んだのは、この人…

 法案審議の中で、野党が論戦のターゲットとしているのは、働き方改革法案だが、重要な法案は他にもある。中でも最も緊急度が高いのが受動喫煙対策法案だと言ってもよいだろう。

 この問題は2月19日の本コラム(※「大詰めを迎えた受動喫煙防止法案 安倍総理と小池都知事のどちらが姑息?」)でも取り上げたが、ここへ来て、様子見に終始していた小池百合子東京都知事が、安倍晋三総理に戦いを仕掛ける動きに出た。

 昨秋の衆議院選で一敗地にまみれた小池都知事が、どん底からの復活劇の足掛かりとして選んだのが受動喫煙対策だったということだろう。

 一方、この問題は、国民の健康に直接かかわり、また、日本の国際的名誉にかかわる問題でもある。

 安倍政権が今国会に提出した「受動喫煙防止法案」は、ほとんど意味のないザル法である。その内容のポイントを確認しておこう。

 まず、学校、病院、行政機関などは「敷地内」原則禁煙とするが、屋外の喫煙場所設置は認める。

 次に、最大の焦点となっている飲食店については、屋内を原則禁煙とするが、喫煙専用室設置は認める。さらに、資本金5000万円以下の中小企業が経営する客席面積100平方メートル以下の既存店は「喫煙可能」などの標識を掲示するだけで店内喫煙を認める。ただし、未成年者の立ち入りは禁止する。

 違反者には違反の内容によって、最大30万円以下または50万円以下の罰金などが科される。

 全面施行は東京五輪・パラリンピック開催前の2020年4月を目指す。

 この内容では、はっきり言って落第だ。

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