なお、東京都の条例骨子案では、罰則が最大で5万円の罰金となっている。悪徳業者から見れば、5万円払えば免罪符になり、喫煙可の店を低コストで営業できるということになる。二回目以降の違反には大幅な罰金額の引き上げを行うなどの対策が必要なのではないだろうか。
■全面禁煙にすれば、コストもかからず即日施行可能
安倍対小池の対決と言っても、残念ながら、今後の論戦は国会と都議会に分かれ、同じ土俵では戦えない。小池都知事の頑張りは、彼女のイメージアップにはつながっても、結局は、数の力で優る安倍自民党と公明党の骨抜き法案を止めることはできない。
そこで、問われるのが、野党のこの問題に対する姿勢だ。野党は、国会審議を拒否する間、森友、加計、日報問題や憲法改正などについては、国会外での街宣などを積極的に展開した。しかし、残念ながら、受動喫煙対策についてはそこまで積極的な姿勢は見られない。政府案を上回る国際標準の厳格な規制を実現するための対案を出す動きも見えない。
これは、おそらく、厳しい法案を出すと中小飲食店業界から反発が出るので、国会で控えめに政府批判をしてアリバイ作りをするだけにとどめておいた方が得策だと考える議員が多いからではないだろうか。現に、立憲民主党議員の中にも、中小零細業者への配慮が欠かせないという意見を述べる者がいる。
実は、室内での分煙を認めるから、そのための設備投資が必要になり、零細事業者の対応が困難になるのであって、全面禁煙にすれば、何の対策もいらず、即日実施可能なはずだ。それを理解していない議員がかなり多いのではないか。WHOも分煙では受動喫煙を防げないという見解を示している。
立憲民主党が中心になって、全面禁煙の法案を提出し、国会外での街宣活動などを通じて世論喚起に努めてはどうだろう。いつも世界に後れをとっている日本だが、オリンピック・パラリンピックを迎える時くらい、先進国の仲間と認めてもらえるような環境を整えるべきだと思うのだが。