メンバーが主夫になったきっかけはさまざまだ。国立最高峰の大学を卒業し大手自動車メーカーに勤務していたものの、妻の仕事の事情や、何より育休中に一緒に過ごした子どもたちと一緒にいたいと主夫になったメンバー。結婚直後に発覚した難病で働けなくなり主夫になったメンバー。親の介護をきっかけに主夫になったメンバー。本当に事情はいろいろある。もう一つさまざまなのは収入。専業主夫に徹しているメンバーもいれば、僕のように収入の主も担っている人もいる。でもみんな共通しているのは"家事や子育ては自分の領分である"と考えていることだ。そこで主夫の友では「主夫」という言葉を再定義。収入や家事育児の分担する割合を問わず「主体的に家事育児に参画している夫」とした。いわゆる"イクメン"との違いについてよく聞かれるが、それについては「イクメンはバイト、主夫は社員」と答えるようにしている。与えられた仕事を与えられた時間でやれば済むバイト感覚ではなく、仕事として運営やマネージメントまで考えて行動する社員に近い感覚で動いているつもりなのだ。
そうしてできた「秘密結社 主夫の友」は今年4年目を迎えている。入る条件は「主夫を名乗っている人」もしくは「主夫をはじめ家事育児参画をする男性を応援している人」つまりは誰もが入ることができる。基本的な活動はSNSやWEBメディアなどを通じた情報の発信や共有とイベントの企画運営。例えば、入るかどうかは別として主夫に興味がある人に 向けた「入社説明会」という名のトークライブや、毎年、主夫や男性の家事育児参画に積極的な発言や行動をとってくれた著名人を表彰する「主夫の友アワード」など。ちなみにアワードは僕らが勝手に決めた「10月10日=いい夫の日」前後に行い、3年目となる昨年10月には三児の父親でもあるタレントのユージさんや、関根麻里さんを表彰した。今年に入ってからは、家族にスゴイ!と言われたいパパに向けて趣味や家事のスゴワザを伝える体験型のセミナー「スゴパパ工場」を立ち上げ、子育てや家事に役立つ機能をつけてカスタマイズしたアイテム「パパのツナギ」をクラウドファンディングで製作するなど、活動の幅はいつの間にか広がってきた。
共働き家庭の増加や女性の社会進出、さらには少子化、果ては介護の問題まで、さまざまな社会問題を解決するには、男性が仕事ばかりでなく家庭のことにも手を出していった方がいいということは、今となれば多くに人に理屈としての説明がつく。とはいえ、僕らが育ってきた高度成長期にはなかった考え方だけに意識の方がついていかないのも理解できる。少しずつその環境が変わっていって、いつか僕らが「逆転夫婦」と自己紹介しなくてもよくなる時が来れば、僕らのような家庭に入る男性はもちろん、家事や育児より働くことが得意な女性にとっても生きやすい世の中になるのではないだろうか?(文/「秘密結社 主夫の友」・杉山ジョージ)