政府が「女性管理職を3割に」という目的を掲げるなら、「それを支える主夫も3割に」――。そんな目標を掲げる「秘密結社 主夫の友」とは? 主夫たちの思いは? 会員の杉山ジョージさんが解説する。
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この四月、次女が小学校に入学した。長女が8歳上なので、かなり久しぶりに新しい人たちと出会うこととなる。最初の保護者会では当然自己紹介からスタートするのだが、その時に割とすんなりと我が家の現状を伝えられるのが「逆転夫婦」という表現だ。
もともと共働きの僕らだが、妻は正社員フルタイム、僕は自営業の放送作家という組み合わせなので、長女が年長だった10年ほど前から、平日日中の時間を調整しやすい僕の方が、家事や育児を主に担当するようになった。家事育児が僕の方が得意だったこともあったし、やるのもそれほど苦ではなかったこと、それに何より娘の成長を近くで見ることができる楽しさもあって"我が家なりの形"をとっただけである。
それでもしばらくは表立って自分がやっているとは言わなかった。いくら調整が利く仕事とはいえ当時はまだ「子どものお迎えがあるのでこの時間は無理です」なんてとても言い出せる雰囲気はなかったし、そんなことを言おうものなら「お前はそんなことも奥さんにさせられないのか?」と言われる始末。先輩から「仕事と家庭、どっちが大事なんだ?」とまるで奥さんに言われそうなことを言われてびっくりしたこともある。なんだかモヤモヤしていたこの時期。その中にはきっと自分自身も「なんでこっちがやらないといけないんだ」という思いがあったと思う。
そんなときにふと「これじゃまるで主夫だ」という言葉が頭に浮かんだのだが、逆にそれがきっかけとなり「そうか、僕は主夫なんだ」と思ったらなんだかこのままでいいような気がしてきた。主夫とはいえ、仕事もしているし、そうか"兼業主夫"か、と。ちょうどその頃、僕が子育てをしていることを知っている数少ない仕事仲間から、ラジオの子育て番組の仕事が来てわかったことがある。この貴重な経験はある意味で仕事につながるかもしれない。僕はメールの署名にある肩書きを"兼業主夫放送作家"に変えた。