たとえば、鞍馬山は僧正坊、愛宕山は太郎坊、高尾山に住むのは飯綱三郎、大山には伯耆坊というように。堕落した僧とは逆に、まるでお坊さまの名前のようだ。

 特に、信州は飯縄山に住む飯綱三郎は、戦勝の神として信仰されたため、上杉謙信や武田信玄など中世の武士たちにおおいに信心された。高尾山へ勧請された飯綱権現は、徳川幕府の庇護を受け、関東以北で特に広まりを見せている。今では天狗の住む高尾山は、ミシュランのガイドブックで3つ星を獲得する山にもなった。

 天狗は、山に囲まれた国土を持つ日本ならではの風土から生まれた神であろう。

 多くは、災害や未知の出来事に説明をつけるため、さまざまな技術を身につけた力のある山伏が転生したものと考えたられた。

 だが、本来天狗は悪さをするものである。天狗の力が負に働き、大きな災害を引き起こしたとの言い伝えが各地に残っている。

 新年度は始まったばかり。力を持った天狗が、天狗にならないように、気を引き締めなければいけない季節なのかもしれない。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

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