生活保護は月に1度、支給される。地元でその日は、「保護日」と呼ばれる。この店では、数百万円にのぼる月の売り上げの半分以上を、保護日から1週間程度で稼ぐのだという。

 生活が苦しいはずの彼らだが、当たり前のように何枚もの1万円札を千円札に両替してゲームに興じている。西成周辺の非合法なゲーム店では、一般的な"コインプレー"ではなく、千円札そのものを使う。もちろん勝った場合は、現金の払い戻しを受けることができる。店内には、ドリンクやお菓子の無料サービスもあり、たいていの客が3時間以上滞在するという。

「私の場合、役所に生活保護をもらいにいった時、知人に教えてもらいました。以来、保護日には必ず、ゲーム店に行きます。一日で2万~3万円は使うかな。生活費? 足らなくなったら役所にバレないようこっそりバイトしています」と、30代半ばの男性客は悪びれる様子もなく話した。

 言わずもがなだが、生活保護は国民の税金から出ている。それが生活に使われず、非合法なゲーム店に流れ、最後は闇の世界に吸い込まれていく。それが西成の現実なのだ。

※週刊朝日 2012年10月5日号

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