かつての同事務所の根幹を担う経営方針が、所属タレントに対してエンターテイナーとしてのコンサートや舞台、ミュージカルなどにおけるパフォーマンス力を重視するものであることは、ジャニー喜多川社長が自ら演出を手掛けたり、メリー喜多川副社長が「週刊文春」の誌面インタビュー上で発した“SMAPは踊れない発言”など過去の事例にも見て取れる。

 今でこそ“アイドル”としてバリバリの「嵐」の櫻井翔や「KAT-TUN」の亀梨和也、「関ジャニ∞」の村上信五や横山裕、「NEWS」の小山慶一郎、「Hey! Say! JUMP」の伊野尾慧なども司会者やMC、コメンテーターとして報道番組や情報番組、バラエティー番組で活躍を見せているが、元々はこの分野を開拓したのは“外様”である「SMAP」の中居正広であったり、既婚者の井ノ原らであり、当時の中居や井ノ原の事務所内の“立ち位置”を踏まえても、かつての同事務所が所属タレントに対してMC力やトーク力よりも、パフォーマンス力をより重視していことは明白だ。

 だが、中居や井ノ原らの功績、エンターテインメント業界を取り巻く環境の変化などにより、近年はその傾向に変化が見られて、結果的にMC業が既婚タレントやベテランタレントの受け皿としても重宝されるようになっているのは大きいだろう。

 もっとも、最近結婚した岡田や森田はMC業よりも俳優業を中心に売り出されているわけだが、それでも既婚タレントの受け皿や活躍の場が広がった結果、同事務所が所属タレントの結婚に対して以前ほど後ろ向きではなくなる一つの要因になっているのではないだろうか。

(2)「世代交代」については同事務所に限らず、他の芸能事務所においても看板タレントの「世代交代」は経営上必須の流れだ。

(1)の要素が上手く機能し、所属タレントの活躍の場が広がっていることは「世代交代」を円滑に進めていくという点においても強い“追い風”になっているであろう。

 成功するのか否かは別にして、同事務所の「世代交代」シフトが今後加速していくことが予想され、こうした流れが所属タレントの結婚についてもプラスに作用している可能性は高い。

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