●「氷川丸」の名の由来

 実は、現在横浜の港に係留されている「氷川丸」が、厄難避けとして氷川の名を一層有名にしたのだ。もともと商船として昭和初期に建造された「氷川丸」だったが、第2二次世界大戦中に徴用され、病院船や引揚船として使われた。3度の触雷にも耐え、同時期に作られた大型船の中で唯一沈没を免れた奇跡の船として知られるこの船の名は、もちろん大宮氷川神社に由来、ブリッジ内の神棚には氷川神社が勧請され、現在に至っている。

 ちなみに、他神社を勧請した姉妹船は雷撃により沈没している。

 ついでに記すと、野神社とは紀伊の熊野三山から祭神を勧請して作られた神社で、祭神の1柱にスサノオ(別名として)が含まれている。もともとは災厄をもたらす存在だったスサノオが、今では人々を恐怖から守ってくれる神さまへと変貌を遂げた背景に、日本の災害の多さを感じる。今回の研究結果が、さらなる安全確保に活用されることを願いたい。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)

(注)参照「東日本大震災の津波被害における神社の祭神とその空間的配置に関する研究」[土木学会論文集F6(安全問題)]

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