卒業式に参加するのか、しないのか――。不登校の人たちにとって卒業式シーズンは複雑な気持ちを抱える時期でもある。経験者の中には「出席してよかった」という声がある一方で、「親は(欠席したときの)後悔ばかりを心配していたが、行っても楽しくなかった」という感想も。不登校新聞の石井志昂編集長は、学校や親がどう対応するかによって「本当の意味での『卒業』をサポートすることもできる」という。当事者たちが絶賛したある小学校の"神対応"とは、どんなものだったのか。
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卒業式といえば、不登校の当事者界隈では何度も話題にのぼるテーマです。最も大きな悩みは、卒業式に出るのか、出ないのか。
私が編集長を勤める『不登校新聞』で実施したアンケートでは、80人の不登校経験者のうち、6割が出席、4割が欠席でした(2016年2月実施/対象者10代~40代の不登校経験者)。しかし卒業式当日に「不登校だった同級生を見た」という人は多くないでしょう。というのも出席者のうち、約半数は「校長室」「保健室」など別室で行なわれる卒業式に参加するからです。なかには「自宅」で卒業証書を受け取ったという人もいます。
彼らは卒業式に出席してよかったと思っているのか、欠席した人は後悔していないのか。出席・欠席の両者にその感想も聞いてみました。
なんと結果は「欠席してよかった」と答えた人が回答者のなかで、もっとも多かったのです。欠席者の8割が「欠席してよかった」と回答し、その理由は「学校が好きじゃないので行かなくてよかった」「出席を強要されていたら、おそらく一生消えない傷跡が増えた」というものでした。
一方、出席者です。こちらは「どちらとも言えない」「出席してよかった」「欠席すればよかった」と意見は分かれました。
出席者からはこんな声が聞かれました。
「うれしくはなかったが区切りにはなかった」
「もし行かなかったらモヤモヤが残ったと思う」
「親は後悔ばかりを心配していたが行っても楽しくなかった」
「卒業式当日よりも、当日、本当に行けるかどうか、自分でもわからないのに出欠予定を求められるのがつらかった」