著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催
沖縄北方担当大臣に就任した福井照・元文部科学副大臣 (c)朝日新聞社
沖縄北方担当大臣に就任した福井照・元文部科学副大臣 (c)朝日新聞社
【写真1】自民党から在京テレビキー局の編成局長と報道局長宛てに送られた圧力文書
【写真1】自民党から在京テレビキー局の編成局長と報道局長宛てに送られた圧力文書
【写真2】福井照氏が報道ステーションプロデューサーに宛てた文書
【写真2】福井照氏が報道ステーションプロデューサーに宛てた文書

 沖縄北方担当大臣に2月27日、就任した自民党の福井照・元文部科学副大臣(64)が早くもその資質を問われている。前任の江崎鉄磨大臣は、失言ばかりが報じられる情けない大臣だった。「沖縄県民に寄り添う」という安倍晋三総理だから、さすがに今度はまともな大臣を選ぶだろうと思ったのだが、新大臣は前任以上に問題だらけの人物だ。

【写真】自民党からテレビキー局や「報道ステーション」に送られた圧力文書はこちら

 まずは、就任当日の記者会見で、北方領土の「色丹(しこたん)島」を「シャコタン島」と間違えて記者たちの失笑を買った。

 次に、2009年の週刊誌に「温泉豪遊ハレンチ写真」を報じられたことが取り上げられ、「人には見せられないような恥ずかしい写真だ。女性が見たらどう思うか」と国会で批判された。

 福井氏の後援団体の元幹部が、詐欺まがいの投資事業で出資金をだまし取ったとして訴訟を起こされ敗訴した事件で、福井氏が投資への勧誘にかかわった事実が裁判で認定されていることも指摘された。しかも、その不正なカネを福井氏の海外出張費に充てていた可能性があるというのだから開いた口が塞がらない。

 福井氏は消費者担当相も兼ねている。消費者保護行政のトップが、過去に消費者を騙すような行為に加担して訴訟まで起こされていたというのだから、国民は、そんな大臣は信用できないと思うだろう。

 今回の人事は、前任の江崎氏が二階派だったので、後任も二階派から選んだと報じられた。 秋の自民党総裁選で安倍総裁の3選を支持している二階氏のご機嫌を損ねないようにという安倍総理の下心があったという解説だ。そんな消費者無視の人選などあってはならないことだ。

 すでに福井氏に大臣の資質がないことははっきりしているが、実は、福井氏にはこの他にもマスコミが全く報道していないスキャンダルがある。

 それは、福井氏が、自民党安倍政権によるマスコミ弾圧、特にテレビ局弾圧を推進する主導役だったということだ。

 それを証明する2014年の文書がある。当時、全国紙が若干の報道をしたが、テレビ局は、安倍政権が怖くて、じっと沈黙を守ったため、知らない人が多いだろう。

 まずはその文書の写真を見ていただきたい(写真1)。

 日付は、2014年11月20日付で、衆議院解散の前日 。差出人は当時、自民党筆頭副幹事長の萩生田光一氏と報道局長の福井照氏、宛先は在京テレビキー局の編成局長と報道局長となっている。タイトルには「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」とある。

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古賀茂明

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古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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