教育資金贈与の非課税制度が大ヒットしたこともあり、「次はこれ!」と始まったのが「結婚子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」です。この制度は、父母や祖父母といった直系尊属が、20歳以上50歳未満の子や孫、ひ孫の結婚・子育て資金を、1人あたり1000万円まで非課税で贈与できるというもの。教育資金贈与と同じく19年3月末までの時限措置なので、駆け込み贈与するなら、今がベストの時期でしょう。

 贈与資金の使途は、
●結婚資金(結婚式、披露宴、新居費用・家賃、引っ越し代)
●出産資金(不妊治療も含む妊娠・出産にかかる医療費など)
●子育て資金(ベビーシッター代や保育園代、医療費など)

 披露宴など高額な結婚資金に使える贈与の上限は300万円です。また、おむつ、粉ミルクなどの消耗品は子育て資金として認められません。

 贈与の方法は教育資金と同じく、信託銀行などに贈与資金を信託する方式。子や孫は、結婚・子育て費用の領収書などを提出するだけで、金融機関が自動的に非課税申告書を税務署に提出してくれます。贈与を受ける側が50歳を超えたり、贈与した人が死亡すると、残高に対して税金がかかる仕組みです。祖父母・父母側は、子や孫が使いきってしまえる金額を贈与するのがよいでしょう。

 この制度を利用しているのは、17年3月末の信託契約数でみると5千件余り、総額も132億円程度と、あまり普及していませんが、制度終了間際に駆け込む人は増えることでしょう。

(文/尾崎大輔)

※週刊朝日ムック「定年後のお金と住まい2018」から

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