2月21日に急性心不全のため66歳で急逝した大杉漣さん。北野武監督の映画『ソナチネ』(1993年公開)での演技が注目され、その後、名バイプレイヤーとして数多くの映画やドラマで活躍。最近は、7日にスタートした名脇役たちが本人役で共演する連続ドラマ「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」(テレビ東京系)にメインキャストとして出演し、大きな反響を呼んだ。さらに、昨年1月から「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)内の名物企画「ゴチになります!」でレギュラーを務めるなど、バラエティー番組でも活躍していた。
そんな中での訃報。前述の「ぐるナイ」(22日放送)では、番組公式サイトに追悼文を掲載され、同日の放送回のオープニングとエンディングで追悼メッセージが放送された。
「バイプレイヤーズ」の共演者である遠藤憲一(56)や松重豊(55)らは、「喪失感は計り知れません」とコメントするなど、芸能界は悲しみに包まれている。同時にネット上でも、「嘘だと言ってくれ……」「本当に悲しい」「本気でショック」という声が。“300の顔を持つ男”と呼ばれた大杉さんだが、日本のドラマや映画において欠かせない俳優で、かつ直前まで元気な姿を見せていただけに、やりきれない思いを募らせてしまうのだろう。
大杉さんを知る映画関係者は「ここまで惜しまれるのは、名バイプレーヤーぶりはもちろん、人柄にもあると思います」と話す。
「北野映画や黒沢清監督の作品などに出演する一方、実は低予算の映画にも数多く出演していました。例えば、2006年に公開された主演映画『棚の隅』(門井肇監督)。かつて夫婦だった中年の男女が再会し、新しい道を歩き始めるまでの姿を淡々と描いた作品で、スタッフは30代が多く予算はわずか500万円。映画のワークショップ後の飲み会で監督からオファーされ、快諾したとか。大杉さん曰く、『どんな作品に出演するか』が大切で、何より出演依頼をもらうこと自体に幸せを感じていたそうです」
そんな大杉さんの役者業や作品に対する姿勢を知ると、誰でも魅了されてしまうのは当然かもしれない。スポーツ紙の芸能担当記者は「趣味にも人間味が感じられた」と証言する。