しかし、よくみると、当初の150平方メートルは店舗面積で、現在調整中の100平方メートルは客席面積だという。元々150と言っていたのは、客席100平方メートルに厨房50平方メートルを加えた合計の店舗面積150平方メートルという計算だったので、実態は変わらず、150から100への変更は「縮小」でも何でもない。それでも表向き例外の面積をより小さく見せることで、少しは騙される人もいると考えているようだ。
もう一つのまやかしは、つい先月までは、例外を認める対象が、東京都で85%とか90%という議論をしていたのに、ここにきて、厚労省が、東京都ではなく、全国の数字を強調し始めた。厳格な規制の例外になるのは、全国で見れば最大で55%、逆に言えば、規制対象が45%になるということだ。全国に広げれば、地方では広い店が多いので規制対象の割合が増えるのは当然。規制の実態は同じなのに、説明の仕方で見栄えを良くしようという計算だ。
しかし、全国で見るのはもちろん重要だが、東京オリパラという観点も同時に重要だ。
そもそもIOCの要請にこたえるという点では、開催都市東京で9割を例外扱いするというのではほとんど意味をなさない。
ちなみに、加藤勝信厚労相は元財務官僚。たばこ利権の擁護者であり、かつ官僚の姑息なテクニックにもたけている。今回の局面ではある意味「最適任者」を安倍総理は任命したということになる。
●都議選対策に受動喫煙対策を使った小池都知事も姑息な逃げか
こうした安倍政権の姑息な動きに対して、オリパラ開催都市東京都の知事である小池氏はどう対応しているのだろうか。
昨年夏には、都議選を前にして、小池氏が代表を務めていた地域政党「都民ファースト」の公約に受動喫煙対策条例の制定を加えた。人気取りそのものだ。その後、実際に条例を作るかと思ったら、昨年9月にお題目を掲げただけで実際には何の役にも立たない「基本条例」的なものを作っただけ。本来は少しでも早く制定しないと対策をする飲食店などが困るのがわかっていながら、本格的な条例提出を今年の2月議会まで先送りした。