アメリカで開業している精神科医の久賀谷亮氏によれば、前頭前野は「意識しなくても常に働いている場所」なのだそうです。久賀谷先生は、この部位を休めてあげる「マインドフルネス」という方法により、日常の疲労をとる必要があると唱えています。マインドフルネスはスマホの代表者ともいえるスティーブ・ジョブズも実行していたというのですから、スマホで「前頭前野」がリラックスしてしまうというのは、少し腑に落ちない気もします。

 さらに、川島教授は「スマホを長時間使うことにより、脳の発達が悪くなり成績が落ちる」と言っています。私はこの発言にも少々疑問を抱かざるを得ません。スマホの中の、何が原因なのか、そこが分からないのです。ゲームなら、テレビゲームと何が違うのでしょう。電波なら、パソコンも同じですし、ニンテンドーDSからもオンラインゲームでは電波が出ています。日頃からパソコンで作業をしている人達は、日々頭が悪くなっているのでしょうか……、と思いながら今、スマホでアプリを検索したら『川島隆太教授のいきいき脳体操』というゲームが出てきましたが、これは一体……!?

 脳とゲーム、スマホに関しては、まだまだ研究や議論の余地がある段階ではないかと思いますが。私の持論としては、ゲームオタクが大勢東大にいるので、ゲームをしても特に問題なし。スマホに関しては、計算機や辞書や検索機能は便利ですが、集中すべきときは友人との連絡を控えよう、というくらいではないかと思います。

(文/杉山奈津子)

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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