医学部受験が佳境を迎えている。各大学の特徴を知るためには、全体を俯瞰して比べるのも有効だ。発売中のAERAムック『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』では、学費や医師数、医師国家試験合格率など、医学部の「数字」を徹底調査。ここでは、過去20年間の難易度の変移を表にした。
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全医学部の偏差値を20年前と比較した。
注目は、私大の難易度が上昇している点だ。東京慈恵会医科大が10、順天堂大が9、杏林大、東邦大、近畿大が7上昇している。
国公立大で難易度の上昇が目立つのは、7上昇の宮崎大、6上昇の筑波大、4上昇の香川大、鹿児島大、和歌山県立医科大。
国公立大の難易度の変化について、駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長が言う。
「地方大学や新設大学の難易度が上昇しています。受験生の地元志向が高まったことに加え、20年間で新設医科大学の認知度がアップし、社会的な評価が上がったからだと思います」
私大の偏差値が軒並み上昇した理由について、進学塾ビッグバンの松原好之代表は説明する。
「以前は学費が高すぎて、医者の子どもばかりだったが、学費の値下げが進み、一般家庭の子どもも増えました。私大は首都圏と関西圏に集中しています。『子どもを手元に置いておきたい』と考える親が増え、遠くの国公立大よりも地元の私大を選ぶ傾向になってきたこと、意識の高い社会人が医学部受験に参入してきたことも偏差値上昇につながっています」
(文/庄村敦子)
※『AERA Premium 医者・医学部がわかる2018』から抜粋