ただし、クリームがいい例だが、「生死を問わず、25年以上にわたってロック界に強い影響力を持ちつづけてきたこと」が殿堂入りの条件となっているロックンロール・ホール・オブ・フェイムの受賞者のなかには、単なる解散ではなく、分裂したバンドが少なくない。
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルもその一つで、この日のパーティーでジョン・フォガティは、ブルース・スプリングスティーンやロビー・ロバートソンを中心にしたスペシャル・バンドをバックにライヴを聞かせた。ベースのステュ・クックとドラムスのダグ・クリフォードも出席していたのに、である。とんでもないライヴではあったが、なんとなく後味の悪いものでもあった。
1986年の第1回授賞式でエルヴィス・プレスリー、チャック・ベリー、バディ・ホリーらパイオニアたちの功績を讃えてから32年目。今年4月14日に予定されているアニュアル・インダクション・ディナーでは、ダイアー・ストレイツ、ムーディー・ブルース、ザ・カーズ、ニナ・シモン、ボン・ジョヴィの5組が新たに殿堂に迎えられる予定だ。このなかにも「いろいろとあったバンド」がいるが、さて、授賞式ではいったいどんな顔ぶれでライヴを聞かせるのだろう? あるいは、これをきっかけに絆を取り戻すということもあるのだろうか?(音楽ライター・大友博)