その人の体力にもよりますが、ウィークデーに12時過ぎに帰って6時に起きる生活を続けること「だけ」でそんなに疲弊するとは思えませんので、憔悴しているのは肉体的な疲労だけではないはずです。
「週末はどうしてますか」
とお聞きしてみると、
「週末はもっとつらいでんです。家事育児全部妻がやるので、やることはないけど、家にいるのはいたたまれず、どうやって2日間時間をつぶすか毎週苦しんでいます」
とのことでした。
働き方改革に伴って早く退社しなくてはならなくなったことで、Aさんほどシビアではないけれど、Aさんの予備軍のような人々があぶりだされたのです。帰宅恐怖というと深刻な感じがするのに、フラリーマンというと深刻な感じがしないのが不思議です。
■本当は帰りたいから苦しい
いずれにしても、彼らの問題は、
・帰宅できないことに、両者とも苦痛を感じていること
・そして潜在的には「帰りたい」という気持ちがあること
です。本当は帰りたいのに帰れないという心理的な葛藤に苦しんでいるのです。人によっては、帰りたくないところに帰らなければならないことに苦しんでいる場合もあり、そのどちらかによって対処がまるで違うため、慎重に検討する必要があります。
後者は、本当は中学受験なんかしたくないけど親の意向で勉強しなければいけない苦痛のようなものです。小学生なら残念ながら親なしに生きていくのは困難ですから、仕方ない現実があるかもしれませんが、大人であれば自分の人生を考えて、自分がどういう人生の選択をするか、という問題にほかなりません。いいと思って就職して何年かまじめに働いたけど、これは自分がやりたいことではなかった、と気づいたというのと同じ話です。
■「妻が怖い」という理由は本当か?
フラリーマンの本流である帰りたいけど帰れない、というタイプの人に話を戻します。理由もわからず「帰りたいけど帰れない」という状態は、心理的には非常にきつく、少なくとも何らかの説明が付けば、多少は救われます。