




大阪・ミナミのランドマークである通天閣(大阪市浪速区)のほど近く、老舗商店街「新世界市場」にその店はあった。ひとたび足を踏み入れると、ヒョウやトラ、ライオンの顔、柄、顔。全国からアニマル柄好きが訪れる婦人服店「なにわ小町」だ。
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店では常時、Tシャツやスパッツ、リュック、ポーチなど、300~400種類のアニマル柄の服や小物がそろう。メーンの価格帯は2900円とお手ごろだ。店長の高橋真由美さん(66)は、ヒョウ柄とヒョウ柄とを組み合わせたいでたち。さすが長年アニマル柄を愛用しているとあって、ガラガラしているのに不思議と統一感がある。
高橋さんによると、2010年の開店当時は、息子でデザイナーの輝明さん(36)が手掛けたふんどしや、高橋さんが好きな浴衣などをメーンで扱っていた。しかし、浴衣は夏のもの。冬は何を売ろうかと考えた時に思いついたのが、高橋さんが好きなヒョウ柄だった。
5年前からヒョウ柄やトラ柄をはじめとしたアニマル柄の服や小物の販売を始めたところ、「大阪らしい」とテレビや新聞などで取り上げられるようになった。高橋さんの“アニマル愛”や気さくな人柄も話題となり、今やアニマル柄の“聖地”と言える人気ぶりである。
「アニマル柄の魅力? それはやっぱり力強くてパワーが出ることですよ。アニマル柄の服を着て悲しい顔をしている人はおらんでしょ?」と高橋さん。数ある商品の中でも高い人気を誇るのが、前と後ろに、柄ではなく、ヒョウやトラの顔が大きくプリントされたオリジナルTシャツだ。近くで見ると、かみつかれんばかりの迫力がある。
Tシャツの柄は約30種類。プリントする写真は高橋さんが選び、パソコンで大きさや位置を調節する。どれも震え上がるほどのインパクトだが、失敗することもあるそうだ。「ヒョウの顔をバーンと正面からとらえた写真をプリントしてみたのですが、いまいち迫力不足というか。やっぱりヒョウは横顔ですね。大きくプリントし過ぎてネコみたいになっちゃったやつもあります」(高橋さん)
トラの顔が大きくプリントされたトレーナーに添えた文字のスペルが「Tigar」になってしまったことも。なんともお茶目なエピソードだが、それはそれで愛嬌があると人気だという。
ロングセラー商品は、ライオンやホワイトタイガーの“顔そのもの”のリュックサック。後ろのジッパーから物を出し入れできる。意外といろいろ入るらしいが、ほんまかいな。「北海道から来て買ってくれたお客様が『担いで飛行機乗っても大丈夫かな』と心配されて。帰られてから『大丈夫でした!』と電話がありました」と高橋さん。そんなことを心配してしまうほど、圧倒的なインパクトがある。
店には、北海道から沖縄まで、アニマル柄を愛する人々が訪れる。「新潟の佐渡島から来られたお客様は、経営されている『居酒屋のユニホームにして着る』とオリジナルTシャツを数枚買っていかれました。飲み会の時は社員がみんなトラのTシャツでそろえるというお客さまもおられます。全国にアニマル柄の輪が広がっていくのはうれしいですね」(高橋さん)