「近代マーケティングの父」「マーケティングの神様」と称されるフィリップ・コトラー氏が来日。12月8日に開催されたワールドマーケティングサミット東京 2017で基調講演を行い、最新刊『コトラーのマーケティング4.0(原題MARKETING4.0)』などで提唱してきた新しいマーケティング理論について熱く語った。
* * *
■マーケティングは企業の成長エンジン
マーケティングとは何なのか。何をすることなのか。コトラー氏の講演は、この基本的な問いから始まった。
「マーケティングとはセールス(営業パーソンなど)、広告、プロモーションといえるでしょう。そういうスキルを必要としているのがマーケティングです」
しかし、コトラー氏はマーケティングをもっと広い意味で捉え直すべきと提案する。
「マーケティングとは目的です。(製品の)ターゲットにしている顧客に対して、価値を創造し、コミュニケーションし、お届けするということです」
今、マーケティングは非常に大きな変革の時期にあるという。
「これまでは、企業が作ったモノを売ることでした。けれども、新しいマーケティングは、企業が『何を作るべきなのか』を決めるツールといえます。これまで、マーケティングは作った製品とは関係ありませんでした。それは開発や製造の部門が決めていました。しかし、企業は今『自分たちがふさわしいモノを作っているのか』だけではなく、『新しいモノを作っているのか』も考えなくてはならないのです」
常に変わり続ける消費者に応じて企業も変わっていかなければ、「時代に遅れになり、市場から取り残されてしまう」とコトラー氏は警鐘を鳴らす。そうならないために、企業はマーケティングを「成長エンジン」と考え、製品を開発する初めの段階からそのツールを取り入れていくよう体制や意識の変革が必要なのだという。
■マーケティングミックスは7つの時代へ
では、マーケティングはどう変わっていっているのか。その一つに、コトラー氏はマーケティングミックスの変化を挙げた。これまでマーケティングミックスで使われてきた4P(Product、Price、Place、Promotion)が4つでは足りなくなってきていると指摘する。