余裕があると同時に日本人の多くは自分の人生の目的など考えたこともないのかもしれない。人生の目的を自分で問う間もなく、受験戦争にぶち込まれ、就職戦線に移行し、企業に入れば、本当に自分の人生に意味があるのかわからない仕事や残業や付き合いに忙殺され、人生は過ぎていく。

 人生の目標を問い詰めることなく、あくせくしているが、実は頑張っていないので、時折暇があり、他人に干渉してしまう。突き詰めればアホもかわいそうな日本社会の被害者である。しかしながら、日本の人口減少、高齢化、新興国の猛烈なキャッチアップを考えれば、これから日本社会もますます余裕がなくなるので、アホは減ってくるだろう。逆に猛烈な椅子取りゲームとなってくるので、そこで足を引っ張るアホ多発となるかもしれないが……。

 鳥取県から東京にあこがれて出てきた私は、当時「東京砂漠」と友人たちから脅されたことを今でも覚えている。東京の人はドライで、ウエットな関係はなかなかないという意味だ。ところがシンガポールを拠点に世界中を飛び回る今、東京のイメージは砂漠というより、熱帯雨林のようなジメジメしたウエットな感じがする。海外の方がよほどドライだ。ドライというか、他人に本当に干渉しない。これは今の私にはずっと楽だ。

 だからといって誰もが海外に飛び出すのは難しい。もし、あなたがアホに悩まされたときは、自分の本当の目的は何か考え、それを実現することのみに集中しよう。その瞬間、あなたの人生からはアホは消えてなくなっているはずだ。