優勝した日本体育大と延長タイブレークの熱戦を演じた九州共立大では島内颯太郎(3年)の好投が光った。同じチームの先輩である大瀬良大地(広島)のように左肩が開かず、体の近くで縦に腕が振れておりコーナーへの投げ分けは見事。右打者にも左打者にも内角の厳しいコースに速いボールをどんどん投げ込むピッチングは見ていて爽快だ。

 侍ジャパンの大学日本代表にも選ばれた栗林良吏(名城大・3年)は8回を投げて7失点と打ち込まれたものの、8三振を奪って良さも十分に見せた。140キロ台後半のストレートは勢い十分で、100キロ台のカーブとの緩急は強烈だ。

 サウスポーで最も光ったのは福田俊(星槎道都大・3年)。3試合全てに先発し、チームを北海道の大学で初となる決勝進出に導いた。右打者の外への出し入れが絶妙で、ギリギリのコースをうまく振らせるピッチングが持ち味。ストレートも数字以上に威力があり、初戦の創価大戦では11奪三振のうち9個を空振りで奪って見せた。

 他にも150キロに迫るスピードを見せた山本隆広(関西大・3年)と甲斐野央(東洋大・3年)、ボールの出どころの見づらいフォームが特長の大型サウスポー鈴木翔天(富士大・3年)なども十分に良さを見せつけた。

 ここまで紹介した投手は全て3年生だが、2年生以下にも好投手は多かった。代表的なのが創価大の二枚看板である杉山晃基(2年)と小孫竜二(2年)だ。杉山はテイクバックで右肩が下がるフォームだが、ボールを抑え込める時はそれがプラスに働き、素晴らしいボールの角度を生み出している。今大会でも初戦では150キロを度々計測し、力で抑え込むピッチングを見せた。

 小孫は逆に、良くも悪くもまとまりのある投手という印象だったが、この秋は力強さがアップし、今大会でも最速149キロをマークした。フォームに微妙に変化をつけるなど、よく考えて投げているのも好感が持てる。好投手を生み出す創価大の伝統は健在と言えるだろう。

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