スマカメ パンチルト(CS-QR30)/市場売価9720円(税込)/プラネックスコミュニケーションズ
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 東京と実家・岩手の遠距離介護を続け、介護者目線の情報を発信している介護作家・ブロガーの工藤広伸(くどひろ)さん。週刊朝日MOOK「家族で読む予防と備え すべてがわかる認知症2017」では、介護者の気持ちがラクになるヒントを聞いた。

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■柔軟な発想で“しれっと”介護を

「認知症の人の言動はそれぞれ。介護本の情報が常にその人に当てはまるとは限りません」

 そう語る工藤広伸さんは介護の行き詰まりを感じると柔軟な発想で対応しています。心掛けているのは“しれっと”介護すること。

「家族が安定した精神状態であるか否かは、認知症の本人にとってすごく大事なことです」

 薬や治療も重要ですが、介護者が認知症の人の生活リズムに寄りすぎると、自分の心や生活を乱し、限界を感じる可能性があります。ときには介護者自身が気持ちを軽くするために、教科書的な介護本とは異なる対応や、便利なグッズを利用することも必要だと言います。

「たとえば悪口。私の母も認知症になって悪口が増えました。本には同調しましょうと書いてありますが、悪口に加担しているようで、介護者としてはストレスがすごくたまるのです」

 工藤さんは、同調せずにしれっとポジティブな回答をすることに切り替えました。

「あのヘルパーは好きじゃない」と言われると「へーそうなんだ」と受け入れながらも「あのヘルパーさん県内一の腕らしいよ」と。

「母を否定せず、私の意見を付け加えました。県内一は盛っていますが、それでもいい人だと私は本気で思っていました」

 このやりとりを何度も続けているうちに母親から「あの人いいわね」という発言がでるようになります。

「悪く言えば洗脳かもしれませんが、母の表情が明るくなったのは印象的でした」

 また、失敗例を聞くと、いつも手探り状態で「成功も失敗もないと思っています」と、前置きしながらも、こう答えてくれました。

「『壮絶な介護』など、恐怖心をあおるようなメディアの情報をうのみにするといいことはないですね。私も最初は影響を受けたかも。そういう人は確かにいますが、私自身は、直面してみて“思ったより悪くない”という印象でした。まず、目の前の現実を正しく認知することが大切です」

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