月に一度の放送ということもあり、番組に寄せられるリクエストは100~150件にものぼるといい、その一通、一通を反社会的な曲がないかを刑務官がチェックし、外国語の曲も和訳して確認しているという。まさに、ディレクターの岩松さんをはじめ、刑務官の方も含め一丸となって番組を作っている姿がうかがえる。番組中も刑務所とは思えない和やかな空間が広がっていた。
「どうやって生きていけばいいかわからない」、「立派なヤクザになって社会に戻りたい」など正直、応えられないようなメッセージにも、正面から受け止めて、笑顔で答える長谷川さん。
「リスナーが、受刑者だからといって、特別に気をつかわないようにしています。同じリスナーとして接する。そして、楽しみながらやる、それだけです」
府中刑務所は、「府中大学」と言われるくらい入るのが難しいと言われている。だからこそ入ったら、早くここを出て、社会復帰したい。そんな想いで、受刑者自らが「出所」ではなく、「卒業」という言葉を刑務所内で使い始めたという。それが、今では番組の中でも浸透し、長谷川さんも卒業という言葉を使うようになったといいます。
「卒業したら、早く娘に会いたい」「卒業したら、今度はきちんと働いて家族を養う」
そんな受刑者のメッセージを読む長谷川さんを含め、スタッフ全員が思うことはただ一つ。
「この番組は、ずっと続けていきたい。だけど、二度と聞かないで欲しい」(元お笑い芸人/新津勇樹)