今でこそ笑い話で言えるが、当時は、とにかく体当たりで臨む。受刑者を通して、自分の心も見つめ直す作業の連続だったという。

「いつか社会に出た時に、私が届けたメッセージが頑張るきっかけになってもらえたらいい。でも、そう考えると、一つひとつの言葉を慎重に考えないといけないと思ったんです」

 言葉のプロとして、強い思いを込めてメッセージを送る、それが自分の出来ることなんだと覚悟したという。そんな中、ある出来事をきっかけに受刑者と信頼関係が少しずつ築かれていった。

「受刑者は、人の言葉に敏感な人が多いんです。だから、私を試してくるようなメッセージもありました。それは、ある受刑者が卒業したら大好きなダイビングをやりたいというメッセージをくれたんです。それに対して、私もダイビングをやりたいなと思って、そう返したんですよ」

 しかし長谷川さんのすごいところは、後日、実際にダイビングの免許を取りにいったところだ。

「会話を合わせるだけなら、誰でもできるじゃないですか。でも、実際に免許を取って、ダイビングをしようと思ったんです。経験したから話せる事もあるじゃないですか」

 この行動からも、長谷川さんが受刑者に対して、体当たりで向き合っていることが感じられる。その後、番組でもダイビングの話をしたことをきっかけに、受刑者からも徐々に信頼されていっているなと実感が出来たという。今年の4月で放送開始から11年が経ち、当初はこんなに長く続くとは思いもよらなかったという。

「刑務所内の放送ということもあり、何か問題が起きたら、一発で番組終了ということが大前提だったんです。だから、ここまで来れたのは本当に凄いことなんだなぁと思っています。それもこのメンバーだから、続いたんだと思いますよ」

 と長谷川さんは、目を細める。

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