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世の中アホがたくさんいる。相手を見て態度を変える人、ムダに攻撃的な人、自分が上だとマウンティングしてくる人……。そんな人たちと出会ったとき、決して怒ってはいけない。元政治家であり、現在はシンガポール・リークワンユー政治大学院で教鞭を執る田村耕太郎さんが、著書『頭に来てもアホとは戦うな』(朝日新聞出版)で明かした、アホへの怒りの対処法とは。
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先輩から聞いた素晴らしいアドバイスを披露しよう。
私からは想像できないが、その方曰くもともと短気だったという。正義感とエネルギーにもあふれ、特に力のある人間によく食ってかかっていたそうだ。「俺には失うものがないから何も怖くないんだよ」と常におっしゃっていた。
「弱きを助け、強きをくじく」を地で行く人で、それこそ「任侠映画から出てきたような人だった」と別の先輩が言っていた。だから後輩の面倒見は政治の世界では信じられないくらい、いい。私に限らず多くの後輩の世話を引き受け解決して、そして特筆すべきは、それを絶対に自分の手柄にしなかった点だ。一緒にやらせていただいた仕事も私の手柄として吹聴(ふいちょう)してくれた。
この世は任侠映画のようにはできていないことに気付いたこの人が使い始めたテクニックは、幽体離脱(ゆうたいりだつ)。カッとしたときほど、肉体を離れて自分を上から見る自分を強く意識するようにしているという。相手がいて、自分がいて、衝突しようとしている構図を、すっと霊魂のように自分から抜け出して、それこそ3Dで上から時間を止めてみるのだという。