東大・宮台投手 (c)朝日新聞社
東大・宮台投手 (c)朝日新聞社
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 今年は有力なドラフト候補が少ないと見られている東京六大学野球。しかしそんな中でもドラフト会議直前で評価を上げてきた選手がいる。宮台康平(東大)と岩見雅紀(慶応大)のふたりだ。ともに今までの常識を覆す選手であり、それが大きな話題となっている。そんなふたりの魅力に迫った。

 10月7、8日に行われた東京六大学野球秋季リーグ戦の第5週で、東大が法政大に連勝で勝ち点を奪ったことはスポーツニュース以外でも大きく取り上げられた。その立役者となったのがエースの宮台である。

 高校時代から県内では評判のサウスポーだったが、ドラフト候補と呼ばれるようになったのは大学2年の秋からである。開幕戦で、その年の春に大学日本一となっていた早稲田大を相手に4回を投げてノーヒットピッチングの好投を見せると、翌週の法政大戦では6回6奪三振2失点でリーグ戦初勝利をマーク。勝ち星こそ、この1勝に終わったもののリーグ4位の防御率を記録したのだ。

 翌春の開幕戦でも敗れたが、早稲田大を相手に13奪三振をマークするなど見事なピッチングを見せ、リーグ戦終了後には大学日本代表にも選出されている。スピードも最速150キロをマークし、ドラフト上位候補との声も聞かれるようになったが、その後は故障に苦しむこととなる。

 3年秋は左肩の故障でわずか1試合の登板に終わり、今春もフォームが定まらず防御率は8点台と散々な結果に終わっている。ようやく復調してきたのはこの秋で、ここまで2勝を挙げスピードもコンスタントに140キロ台中盤をマークするまでになってきた。

 宮台の良さはそのバランスの良いフォームにある。しかし、強豪と呼ばれるチームで鍛えられてきた選手と比べてそれが長続きしないというのが欠点である。しっかり軸足に体重を乗せて下半身主導で投げられている時は良いが、疲れが出てくるとどうしてもリズムが単調になり、見た目にはスピードが出ていても簡単に捉えられることが多い。ただ厳しい環境で鍛えられていなくてもフォームの欠点が少なく、サウスポーでこれだけのスピードが出せるというのはやはり大きな魅力である。

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