民進出身者の多くは立憲民主に集結し、希望合流組は3人だけ。希望はもう1人と合わせた4選挙区での立候補にとどまり、そこに共産が対立候補をぶつける形となった。

 ただし、共産が希望の結成以前から求めていた「札幌市内が主な1、2、3区のいずれかを含む3選挙区を共産に」の条件が、希望合流組の2、9、12区に充てることで満たされた“棚ぼた”共闘の側面はあった。

 野党共闘の効果がどれほどかは、前回の2014年衆院選のデータでうかがい知ることができる。このとき自民が9勝、民主(2区は当時維新)3勝だったが、民主票に共産票を単純に足すと勝敗は逆転し、自民3勝、民主9勝という計算になる。政権批判票を集めた場合の選挙結果が180度変わり得ることを示している。

 ともに聖心女子大出身の「代議士の妻」対決となった11区は、14年衆院選で民主票と共産票を足し合わせても自民に勝てていなかった3選挙区の1つだ。だが、故・中川昭一氏の妻で前職の中川郁子氏(自民)は15年に同僚男性議員との不適切な交友関係が報じられて、一時は候補者差し替えさえささやかれ、イメージ払しょくに最後まで苦しめられた。

 一方、陸山会事件で有罪判決を受けて公民権停止中の石川知裕元衆院議員の妻で元アナウンサーの石川香織氏(立憲民主)は33歳という若さと現役の子育て世代であることを武器に安倍政権批判の選択肢としての意義を強調。1万6000票差を付けて一騎打ちに勝利した。
小選挙区制の枠内で野党が勝利するための不可避の戦略とも言える「野党共闘」。

 その原点は、15年の安保法制強行採決に反対する市民旋風が吹く中、昨年4月の北海道5区補選で実現した全国に先駆けた試みにある。このとき野党統一候補として池田真紀氏を擁立し、民主、共産、社民、生活が推薦した。池田氏は敗北したものの、自衛隊基地のある千歳、恵庭両市を含む保守有利の同選挙区で、元外務大臣の町村信孝氏の娘婿である自民の和田義明氏に予想を覆して1万2000票差まで詰め寄ったのだった(同じ対決となった今回も選挙区では敗北したものの、票差は9000票弱に縮め、比例で復活当選を果たした)。

 この経験を経て、今回も共闘の実現には苦渋の決断があったが、最終的にはなし遂げられた。8選挙区で候補者を取り下げた共産の痛み。希望に合流した民進出身の3人を共闘から外す譲歩をした立憲民主の決断。上田文雄前札幌市長らの市民団体がくじけそうになる両者の尻をたたき続け、最後は5区補選時から築き上げてきた信頼関係醸成の歩みそのものが後押しとなった。

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