カウンター下の使いやすい場所はいろいろとモノを置いてしまいがち/ビフォー

 さらに「リビングを片づけるのに10分」など、かかる時間の目安がわかるようになると、散らかっていても気持ちに余裕が持てるようになりました。これはほかの家事にも通じることでした。

「例えば、アイロンがけは週末の夜にイライラしながらやっていたんですけど、今なら30分でできるとわかっています。だから、30分だけ時間が空けばいつでもできるし、逆に30分ないならできないとあきらめられる。これがこんなにストレスフリーなことだとは思いませんでした」

 家が片づき、家事もスムーズにできるようになった智子さんは、自分の将来について考えられるようになりました。ずっと「働きたい」という気持ちを持っていたものの、家が散らかったままではうまくいかないことが目に見えていたからです。

「夫の転勤先によっては、単身赴任も視野に入れています。でも、夫が家にいなくて私も仕事、さらに家がぐちゃぐちゃというのは子どもにとってもよくない。フルタイムで通勤するというよりは、今はいろいろな選択肢があるので、家族にとってベストな働き方を調べているところです」

 智子さんのように、結婚や出産などで環境が変わると片づけができなくなってしまったという方は多くいらっしゃるでしょう。でも、片づけの基礎ができてしまえば、いくらでも応用ができます。智子さんが仕事を始めても、これからはその環境の変化にうまく順応できるはずです。

モノの量を減らして幼稚園グッズやランドセル置き場に変身/アフター

「好きなことがいろいろあるんです。どうせだったら今までとは全く違う職種がいいなと思っていました。でも、前の仕事も好きだったから、もう一度チャレンジしてみるのもいいかも……」

 家の片づけや家事のことで悩む必要がなくなった分、自分の気持ちに素直になって仕事を選べそうですね。今から新しい一歩を踏み出す智子さんを、そして踏み出したいと思っている女性たちを、これからも応援しています。

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