驚異的な左足FKでJリーグに衝撃をもたらしたエドゥー(写真:getty Images)
驚異的な左足FKでJリーグに衝撃をもたらしたエドゥー(写真:getty Images)
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 Jリーグのフリーキッカーと言えば、まず真っ先に思い浮かぶのがエドゥー・マランゴンだ。

 横浜フリューゲルスの10番として93、94年にプレーしている。94年のジュビロ磐田戦で決めた40メートルのFKには度肝を抜かれた。蛇行する長い助走、思い切り振り抜かれる左足、常軌を逸した曲がり方……、エドゥーといえばこのFKの印象が強烈すぎて、他のプレーを思い出せないぐらいである。

 Jリーグ発足時には世界的に有名な選手が多かった。“年金リーグ”などと揶揄されもしたが、技術は歳をとっても落ちない。ジーコ(鹿島)、ピエール・リトバルスキー(市原)などが軽々とFKから得点を決めていた。

 日本人なら木村和司(横浜M)が随一だろう。短い距離も長い距離も精度が抜群、クイッとカーブさせて隅へ入っていく。日本代表ではCKを直接入れたこともあった。ただ、木村の全盛期はJSL(日本サッカーリーグ)時代なので、Jリーグとなると三浦淳宏(横浜Fなど)だろうか。曲がるだけでなく落ちるキック、無回転のブレ球の使い手だった。当時はブレ球を蹴る選手はほとんどおらず、三浦のFKは“魔球”とさえ言われたものだ。

 同じ三浦でも、「カズ」こと三浦知良(V川崎、横浜FCなど)もFKから得点している。スペシャリストというほどではなかったが、面白いのはヴェルディ川崎時代に左足でFKからゴールしていること。カズの利き足は右である。利き足でないほうで直接FKを蹴る選手はほとんどいない。CKも左足で蹴っていて、両足をまったく同じように使える希少な両足利きだった。

 現役選手なら中村俊輔(横浜FMなど)を挙げないわけにはいかない。世界的なFKの名手だ。向かって右側のコーナーを狙うのが得意だが、コースの蹴り分けは自由自在。相手GKとの駆け引きも他の追随を許さない。数試合前からの相手GKの状態まで頭に入れていて、もちろんそのときの芝生や天候も考慮するという。

 遠藤保仁(G大阪など)もFKから多くのゴールを決めている。天性のインパクトの強さ、コントロールの良さからPKのように入れてしまう。同世代の小笠原満男(鹿島)もFKがうまい。癖のない蹴り方で簡単に入れてしまうところは遠藤との共通点だ。

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