こうした定点観測をしたからといって、毎回何かが見つかるわけではない。ただ、前回と変わらないというのも大切な情報だ。
ところで、がんはしばしば組織や社会に悪影響を及ぼすもののたとえとして使われる。「あいつは我が社のがんだ」といったように。
民主主義社会の根幹である「思想・良心の自由」を損なう悪法か。あるいは、テロ対策に欠かせない法律か。きわめて乱暴な言い方をすると、がんなのか、それとも体にいい「何か」なのか。それぐらい見方が割れていると感じたのが、共謀罪の法案をめぐる報道だ。
●山尾志桜里衆院議員の不倫疑惑でわずかに触れられた共謀罪
ふつう報道機関は、何かがあったときにニュースとして報じる。私が38.7度の熱で床に伏せっていた6月15日に成立すると、熱が冷めるように新聞・テレビの報道はめっきり減った。7月の施行日ごろに少し盛り返したものの、最近は民進党の山尾志桜里・元政調会長の不倫疑惑に絡んで取り上げられたぐらいの印象しかない。その法案審議で法相を攻め立てた山尾氏が、男性弁護士にブレーンとして手伝ってもらった分野の一つに挙げたのが共謀罪だった。