最後に選手選考についても触れたい。今回選ばれた20名は全員が今年の春、もしくは夏の甲子園に出場した選手である。6月に第1次候補が発表された際のリリースには「春・夏の全国大会に出場していない選手も選考の対象となります」とあったが、結局は誰も選ばれなかったわけである。地方大会で敗退したチームの中にも高い実力を持った選手が数多く存在しており、今回のメンバーが本当のベストだと考える人は少ないだろう。

 投手であれば高校ナンバーワンの呼び声高い石川翔(青藍泰斗)が選ばれていないことにまず疑問を感じる。また小柄ながら関西ナンバーワン右腕との声も聞かれる山本拓実(市西宮)も総合力では指折りの存在だ。他にも右腕ならドラフト上位候補の本田仁海(星槎国際湘南)と田中瑛斗(柳ヶ浦)がおり、古屋敷匠眞(八戸工大一)、森井絃斗(板野)、平良海馬(八重山商工)も150キロを超えるスピードを誇っている。サウスポーなら宮城大会で3試合連続完封をマークした佐藤隼輔(仙台)も抜群の安定感があり、プロからの注目度も高い。

 野手では選手起用のところでも触れたが、セカンドはやはり本職の選手が欲しかった。そのニーズに当てはまるのは安里樹羅(健大高崎)と北川智也(福井工大福井)の2人だ。いかにもセカンドらしい三拍子揃った選手で、その実力は間違いなく全国でも上位である(安里、北川はセンバツには出場)。他にも大型ショートの藤田直仁(川島)や高い打撃技術が光る柿崎颯馬(桐蔭学園)、スピードは全国屈指の高松渡(滝川二)と夏伐京平(国士舘)なども代表チームで見てみたい選手たちだ。

 世代別の代表チームが『侍ジャパン』という名称で統一され、今後国際大会の重要性も高まっている。そんな中でのチーム選考が甲子園大会出場と紐づき過ぎていることには強烈な違和感を覚える。今回選出された選手たちは実力者揃いだが、選ばれなかった選手の名前を見ると、本当にベストの布陣であるとは思えない。どの年代の侍ジャパンでも本当の意味での最強チームを編成し、世界一を目指す体制を一日でも早く作り上げるべきだろう。(文・西尾典文)

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