「元特捜部主任検事のつぶやき」と題したフェイスブックのページがある。
〈社会不在 602日。満期上等〉など、意味深な記述が躍るこのページ、発信者は「前田恒彦」。そう、証拠改ざん事件で立件された大阪地検特捜部の前田恒彦元検事(45)、ご本人である。
大阪地検特捜部が元厚生労働省局長を立件した「郵便不正事件」で重要証拠の一つ、フロッピーディスクの日付を改ざんし、証拠隠滅罪で懲役1年6カ月の実刑判決を受けた前田氏。今年5月に静岡刑務所を満期出所したが、待ち構える報道陣の前には姿を現さず、消息はわからなかった。
すでに司法関連の書き込みは20本ほど。中でも読者の評価を示す「いいね!」の数が圧倒的に多いのは、前田氏も捜査に加わっていた小沢一郎氏の陸山会事件に関する文章だ。
この中で、虚偽の捜査報告書作成にかかわった田代政弘元検事が辞職したことに触れ、
〈一番苦しいのは田代だ。同じ立場にいた人間として、これだけは確信を持って言える。(中略)一生、後ろめたい気持ちを抱え、「嘘つき」という重荷を背負って生きていかなければならない。これは、本当に、本当に、苦しいことだ〉
と自らの経験に重ねて書いている。一方、最高検がこの問題について発表した調査結果には、
〈余りのデタラメぶりに開いた口がふさがらず、喉が渇いて仕方がなかった〉〈田代らを告発した市民団体の告発状は出来が悪いようだが、最高検の「調査報告書」はこれに輪をかけてひどい〉
と古巣を痛烈に批判した。
検事時代、「毒舌」で鳴らした前田氏らしい。フェイスブックを通じて取材を申し込んだが、〈フェイスブックで対応したい〉とのこと。いつか「真相」を生で聞かせてください。
※週刊朝日 2012年9月7日号