移籍金の史上最高額を大きく更新したネイマール(写真:Getty Images)
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 ブラジル代表FWネイマールが、スペインの強豪バルセロナからフランス・リーグアンのパリ・サンジェルマン(PSG)に移籍することが8月3日に発表された。

 その移籍金の額は2億2200万ユーロとされ、日本円にして約290億円。ちょうど1年前に、イタリアのユベントスからイングランドのマンチェスター・ユナイテッド(マンチェスター・U)にフランス代表MFポール・ポグバが移籍した際の1億500万ユーロ(約120億円)が史上最高額となっていただけに、その倍以上となるネイマールの移籍金は驚異的だ。

 ほかにも、このシーズンオフにはマンチェンスター・Uがエバートン(イングランド)からベルギー代表FWロメル・ルカクを7500万ポンド(約109億円)で獲得し、チェルシーがレアル・マドリード(スペイン)からスペイン代表FWアルバロ・モラタを8000万ユーロ(約104億円)で獲得するなど、TV放映権料などで潤沢な資金を持つプレミアリーグ勢を中心に高額移籍が連発されている。

 そもそも、移籍金とは契約解除の違約金にあたるもの。それを移籍先のクラブが支払うことで、移籍元のクラブとの契約を解消し、新チームに加入するというのが一連の流れだ。そして、このシステムの確立は1995年12月に欧州司法裁判所で出された判決、いわゆる「ボスマン判決」が大きな契機になった。

 大筋の流れはこうだ。ベルギー人プレーヤーだったジャン・マルク・ボスマンという選手が、所属クラブとの契約が終了したのにもかかわらず、次のクラブへの移籍を阻止され、さらに選手としても登録されないという事態を訴え出た。裁判の結果、ボスマンが勝訴して所属元のクラブは契約期間の終了後に選手の保有権を主張できなくなった。このベルギー国内での判決を追い風に、欧州サッカー連盟(UEFA)を相手に取った訴訟にも勝訴。欧州にこのルールが広がると、2001年には国際サッカー連盟(FIFA)も合意し、世界中で契約満了後の選手が自由に移籍することが可能になった。

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