7月20日から放送がスタートしたドラマ「黒革の手帖」(テレビ朝日系)で、女優の武井咲(23)が主人公・原口元子を史上最年少で演じ、視聴者やメディアからも注目が集まっている。松本清張の長編小説を映像化したテレビドラマは、過去に何度も映像化されてきた作品で、事務所の先輩・米倉涼子(41)の出世作でもある。ただし、奔放な恋愛経験を重ねてきた米倉と違い、まだ若く、しかも清純な役柄で売ってきた武井が妖艶な悪女ホステスを演じられるか、制作が発表された当初から不安視されていた。
こうした見方について、本人も承知している様子で、制作発表の記者会見では「できるの?と、試すような目が多い気がする。元子のように打ちのめしたいなって思っています」と、意気込みを語っていた。
初回の視聴率は11.7%、2話目も12.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とまずまずの出足だった。放送を見たドラマファンなどからは、武井の美しさや眼力を褒める声が上がっている。
「気が強く、嫌な女をよく演じられていて、迫力は十分でした。事務所に期待されきた武井は、これまで多くの仕事をこなして、キャリアを積んできただけに、それに応える形で実力が身に付いてきたのかもしれませんね」(カルチャー誌の編集者)
女性週刊誌の芸能担当記者もこう証言する。
「事務所がモデル部門に強いということもあり、所属するタレントも演技派というより、とにかく美しい、そこにいるだけで華がある人が多い。先輩の米倉や上戸彩は存在感が段違いで、CM業界でも重宝されています。その役になりきるというよりは、彼女たち自身がそのまま現れたような演技になっている。そういう意味でも、これまで清純な役を演じてきた彼女が、これだけ“凄み”のある演技を見せているので、『どっちが本当の武井さんなんだ?』と思わせるところが見どころかもしれません」
また本作で脚本を手掛けているのは、NHK朝ドラ「マッサン」(2014年)を手掛けた羽原大介氏。映画『パッチギ!』(05年)や『フラガール』(06年)などの大ヒット映画も手掛けてきた同氏が、本作でも武井に合わせて「銀座最年少ママ」といった新設定が加えられている。どんな展開がまっているのか、これまでの映像化作品のファンであっても、期待が膨らむギミックがありそうだ。
武井以外にも仲里依紗(27)など豪華で見応えのある演技ができる出演者が揃っており、これからも視聴率はあがっていきそうだ。武井にとっても、偉大な先輩である米倉の作品という壁や、これまでもたれていた清純派という壁を乗り越える“正念場”の作品。気合も十分で楽しめそうだ。(ライター・黒崎さとし)