有馬稲子 (c)朝日新聞社
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上杉謙信を演じた石坂浩二 (c)朝日新聞社
上杉謙信を演じた石坂浩二 (c)朝日新聞社

 戦国時代に生きた武将たちは、例外なく領土拡張と覇権のために生死をかけて戦った。あるいは戦わざるを得なかった。だがそんな己の欲望のために戦わなかった唯一の武将がいた。上杉謙信だ。

「謙信はほかの戦国武将のように私利私欲で天下を統一しようと考えていたのではなく、あくまでも朝廷・幕府を戴いた体制を築くために戦った」(上杉謙信研究の第一人者の花ケ前盛明さん)。

 その謙信の戦闘能力はどうだったのか。戦国武将の強弱を数値化してランキングした「日本史上最強の戦国武将は誰だ?」(宝島社2013年2月発売)では、上杉謙信が1位で、2位織田信長、3位武田信玄、4位豊臣秀吉、5位が徳川家康になっている。

 前出の花ケ前さんは、著書「上杉謙信のすべて」の中で、謙信が生涯で戦った全70回の戦いを分析し、戦績を43勝2敗25引き分け、勝率を95.6%と判定している。

 この勝率だけでもいかに上杉謙信が強く、異能の武将だったかがわかる。

 大河ドラマ7作目の「天と地と」は、そんな上杉謙信の生涯を描いた。原作は史伝文学の大家海音寺潮五郎の同名小説で、1960年から1962年まで「週刊朝日」に連載された。「天と地と」は大河ドラマ初のカラー作品としても記憶されている。

 主人公の謙信に石坂浩二、ライバルの武田信玄には高橋幸治が扮した。番組序盤の12話までは謙信の少年期で、幼名虎千代を中村光輝(現・中村又五郎)が演じた。

 その虎千代を可愛がり、さながら母親代わりに面倒をみた父為景の側女松江に扮した有馬稲子さんは当時を次のように振り返る。

 「私の役は謙信の父親の為景の側室だけれど、方言丸出しの怪力の持ち主、戦場に出て薙刀を振るう男勝りの女武将松江というとても面白い役でした。それまではなよなよしたヒロイン役が多かったのでこれは面白いと張り切って演じたことを覚えています」

 プライベートなことだがその年、有馬さんは二度目の結婚式を挙げている。

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