3人目は宇良。相手の懐に飛び込み、後ろに反り返って倒す珍手「居反り」などの使い手として、関西学院大時代から注目されていた。とはいえ、学生時代の実績は飛び抜けておらず、体も小さかったことから、出世はあまり期待されていなかった。
しかし、入門後に体がめきめき大きくなり、前に出る力もつけて急成長。アクロバティックな技の数々も健在で、人気も実力も兼ね備えた有望力士となり、夏場所は11勝4敗の好成績を収めた。名古屋場所は、東前頭4枚目という番付からいって、横綱・大関との対戦があるかは微妙だが、もしも実現すれば大いに盛り上がることは間違いない。
進境著しい力士が初めて横綱・大関に挑戦した場所は、厚い壁にはね返され、大きく負け越すケースが多い。3人ともそうなる可能性もある。しかし、若手らしくひたむきな姿勢を忘れずに挑む彼らの相撲は、たとえ負けたとしても、見る人の心をとらえるはずだ。ぜひとも注目してほしい。(文・十枝慶二)